9-7. 原核生物(大腸菌)へのDNA導入
https://gyazo.com/c46126ed3d416a19ff66aa9dd02da825
https://amzn.to/2I6DMZu
1) 形質転換とコンピテント細胞
形質転換(トランスフォーメーション)
細菌細胞にプラスミドなどの裸のDNAを導入すること
この用語は、プラスミドがもつ遺伝子によって細菌の性質が変化することに由来する
操作は単純で、DNA取り込み能を高めた細菌「コンピテント細菌」(形質転換受容性細胞)とDNAを接触させるだけ
https://gyazo.com/753964e73badb274efdb13173d3444a1
コンピテント細胞は塩化カルシウムなどで処理してあり、細胞壁や細胞膜の透過性が増している
その他、電気ショックを与えて細胞に微細な穴を開けてDNAを入れる電気穿孔法(エレクトロポレーション)で細菌を形質転換させる方法もある
1μgのプラスミドで$ 10^6〜$ 10^9個のコロニーが出現するが、$ 10^{10}個/μgは1個の細胞におよそ1個のプラスミドが入る効率に相当する
2) ファージ感染
ファージは感染効率が高く、すべての細菌にDNAを道入させることができる
λファージは細菌の細胞壁にあるマルトース輸送タンパク質(マルトース透過酵素)に吸着するので(感染には菌のマルトースオペロンのlamB遺伝子が働くことが必須)、培地にマルトースを加える必要がある
M13のような繊維状一本鎖ファージは、F因子がつくる性線毛に吸着するため、F+菌を使用する必要がある
memo: 菌類細胞へのDNA導入
真核生物である菌類へのDNA導入も、試薬を使った形質転換で行う
酵母は細胞とDNAを酢酸リチウムとポリエチレングリコールで処理する
真菌(糸状菌)の場合は、セルラーゼで細胞壁を分解除去した細胞(プロトプラストという)にポリエチレングリコールを作用させる
3) 目的クローンの決定
形質転換細胞の場合、薬剤耐性遺伝子などの発現(薬剤を含む培地で生育する)によって、生じたコロニー(クローン)に目的のプラスミドがあると推定でき、インサートにマーカー遺伝子が含まれていれば、その発現でインサートの存在が分かる
候補クローンの最終的な決定はDNAの制限酵素切断、PCR増幅(コロニーPCR)、あるいはダイレクトシークエンシングで行う